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徒然なるままのつぶやき 2

近年アナログ音源が見直されているという風潮があるようですが

2013年〜2014年くらいからアナログレコードやミュージックテープが見直されて、静かなブームになっていると聞いています。CDで新譜を出すのと同時にカセットテープでも販売するケースが僅かですが増えているとか。レコードやミュージックテープ、最近ではCDでさえも場所を取るという理由で、圧縮音源をデジタル機器にダウンロードするというのが現在の潮流のようですが、それらとは逆行するような昨今。

デジタル機器ならばコンパクトで携帯するのも楽ということだけでなく、デジタル音源はどんなに複製しても劣化しない。ただ、ハイレゾ音源に見られるように、音質を高めようとするとデジタル音源はとてつもない容量を必要としますし、ダウンロードにもコストや時間が掛かる。結果としてコストパフォーマンスは悪くなる・・・という絵図は現段階では避けられないようですね。なかなかハイレゾ音源が普及しないのはそれも理由の一つかもしれないと思っています。

アナログの終焉
ラジオカセットテープレコーダー(ラジカセ)

CFS-77 は SONY のラジカセです。私の2台目のラジカセでした。

デザイン性で購入しましたが。性能は・・・? メタルテープは使用できない仕様でしたが、平気で使っていました。その結果ヘッドが・・・。

話は変わりますが、アナログなものの人気が再燃していると聞いて、インターネットでレコードプレーヤーやカセットテープレコーダー、カセットテープデッキ(以後はカセットデッキと表記します)は簡単に入手できるのかと調べてみると、案外中古だけでなく新品でも色々購入できることが分かりました。

ところが、録音に使う「生テープ」は手に入るのか調べてみると、意外に種類がないことに驚きました。それも新品ではノーマルポジションテープ(以後はタイプ1またはノーマルテープと表記します)くらいしか見つからない。ハイポジションテープ(以後はタイプ2またはクロームテープと表記します)やメタルポジションテープ(以後はタイプ4またはメタルテープと表記します)は、2016年現在かつて製造していたメーカーからは販売されていない模様。

ノーマルテープが良くないという訳ではないのですが、カセットテープ世代なら分かると思いますが、クロームテープやメタルテープの方が歯切れ良くダイナミックな音が得られやすいのです。その音質の違いはお手頃な値段の音響機器の方が顕著に現れました。カセットテープの種類に関係なく繊細でダイナミック、透明感のあるひと味もふた味も違う良い音を録音再生できる音響機器は、大抵は高額なものが多く、オーディオマニア(現在ではオタクと言ったほうが理解しやすいかも知れませんね)が購入するような特別なもの、あるいは業務用のものでした。つまり一般庶民や学生では自分のお小遣いで気安く購入できないものばがりでした。それは今も同じようです。

そう言えば我が家にも1980年代〜1990年代に買い漁ったカセットテープがあったような気がしたので探してみました。出てきました! 60〜70本くらいはありそうです。自分でも驚いたのですが、殆どがメタルテープでした。

少しほっとしました。ノーマルテープよりもクロームテープ、クロームテープよりもメタルテープの方が音質が良く(このことには異論を唱える方もいらっしゃるとは思いますが)、また、録音の保持状態が高いレベルで持続できる可能性が大きいからです(このことについても異論を唱える方もいらっしゃるとは思いますが)。

とは言え、20年以上も前の代物です。未開封のものでも、これらのテープが購入した当時の性能をそのまま維持しているとは到底思えません。果たしてどれたけの録音品質が保持されているかは、あまり期待できないかと思います。

デジタル録音ができるDAT(Digital Audio Tape : 構造はヘッドが回転するのでビデオテープデッキに似ていたような・・・)やMD(MiniDisc : SONYが1991年に販売を開始した光磁気ディスク)が登場し、DATはさほど普及しなかったのですが、MDはそれなりに普及、特に若者に受け入れられたようでしたが、音質が期待したよりも良くなかったからか爆発的なヒットとはならず、2000年頃には表舞台から姿を消したようです。それでもアナログなカセットテープを駆逐するには十分なインパクトはありました。

生テープ

未開封のカセットテープがこんなに残っていました。殆どがメタルテープです。現在は以前録音したカセットテープの再生ばかりで、いつこれらのテープに録音するかは定かではないです。

30年くらい前のものもあり、購入当初の性能が維持できているわけでもないでしょうし、音質がどれだけ劣化しているか想像もできません。もし、聴いてみてその差が分からなければ、儲けものですね。

生テープ
生テープ

TDKから発売された超高級なカセットテープです。ボディには金属のフレームが使用されていてズッシリと重いものです。この「重さ」が振動を抑え音質の向上が望めるというコンセプトのものです。もちろんメタルテープです。

これらは全部メタルテープです。パッケージも高級感を出すために配色にはゴールドやブラックを使っています。

PC・パソコン、C D - R の普及がアナログ文化にとどめを刺した !?

アナログ文化に引導を渡したのはPCやCD-Rの普及だったように思います。音楽もデータとしてPC・パソコンに残す(あえて録音とは言わないです)ようになり、やがてPCを使用してCD-Rなどを音楽用CDとして焼き込み(録音 ?)ができるようになると、もはやアナログなものは居場所を失ってしまったと思いました。

 

とにかくデジタルなものは短時間で簡単に作成でき、その真骨頂である音質の劣化がないコピーはとてつもない魅力でした。だから当時はアナログレコードやミュージックテープが見直されるとは想像すらできなくて、そう言ったものを楽しむのは、私のように昔の資産を切り捨てできない者くらいだと思っていました。(そういう私も今ではデジタル音源でも音楽を楽しんでいます)

そういう背景があってか、カセットテープはデジタル時代到来の前兆を予感する時期、つまり1990年代には投げ売りされるようになり、そして店頭から姿を消しました。我が家にある未開封のカセットテープはそのような時に買ったものですが、値段を見ると本当に驚きです。60分や74分録音できるメタルテープが98円 ! (税別 : この頃の消費税は3%から始まり、やがて5%になりました) カセットテープ全盛期の頃では考えられない値段です。当時の物価でさえもメタルテープと言えば安いものでも1本数百円が当たり前でした。少し高価なものになると1本1000円を超えるものもありました。各メーカーのフラッグシップ的存在になると、1本2000円くらいのものもありました。

生テープ
生テープ

アナログ時代も終焉を迎え、カセットテープは投げ売り状態となり、数週間で値段が半分になるという例は珍しくありませんでした。高価なメタルテープもその例外ではなかったようです。

先日インターネットでTDKのクロームテープSA-Xが2300円くらいで売られているのを見て唖然としました。まさか1本でこの値段 !? 確かに現在では入手困難なのでしょうけれど。

私のアナログ資産の代表格はカセットデッキ

アナログレコードプレーヤー(ターンテーブルと言う人もいます)はもちろんあります。ですが、私が常にBGMを流したり、じっくり聴き込んだりするのはカセットテープでしたので、1番大切なのはカセットデッキです。

カセットテープデッキ

Aurex PC-G8AD は東芝製です。アモルファス録再ヘッドを搭載しており、発売当時としては珍しいワイヤレスリモコンを備えていました。私がカセットテープの世界にのめり込むきっかけをくれた1台です。一度も故障せず、四捨五入すれば40年くらい使用しています。

Aurex PC-G8AD と EXCELIA XK-009、私が長年使用していた2台のカセットデッキです。Aurex は当時の東芝のオーディオブランド名です。EXCELIA XK-009 は AIWA のもので、のちに(2002年頃 ?)SONY に合併吸収されたオーディオ機器メーカーです。XK-009 は一度修理に出したことがあるものの、25年以上使用していました。ところが、2017年夏、2度目の走行系の故障が発生。PC-G8AD は35年以上故障もせず動いてくれていたのですが、XK-009 の後を追うように2018年の秋、とうとう電気系統に故障が発生してしまいました。

こういうカセットデッキやカセットテープレコーダーは、駆動系パーツがモーターとゴムベルトなどで繋がれていることが多く、ゴム製の部品が経年劣化(硬化、ひび割れ、切断、ベトベトになって部品に貼り付いてしまうなど)でだめになり、使用できなくなるケースが殆どです。今ではメーカーでさえも部品の在庫が無いことや、メンテナンスをできるメカニックがもういないことを理由に修理を請け負ってくれず、そのまま部屋の隅に眠ったままになるケースが多いのです。我が家も2018年にそうなりました。細々と修理を請け負っている業者もあるのですが、限られたメーカーの限られた機種だけを専門にしていることと、直接持ち込むか宅配便で送ることとなるため、多くのものは修理を諦めざるを得ません。

因みに、最新版の広辞苑からは「カセットデッキ」という言葉は削除されていると聞きました。なんだか忘れられた存在となり寂しいです。

カセットテープデッキ
カセットデッキ

AIWA EXCELIA XK-009 は私が購入できるものとしては最高のものと勝手に思っています。その性能については一部酷評があるようですが、概ね「イチ押し」とか「この価格帯のものとしては数少ないリファレンス機並みの最高レベル」と絶賛する人が多かったようでした。残念ながらオートリバースではなくワンウェイ方式だったので、A面からB面へ切り替えるためにはカセットテープを裏返してセットし直す面倒さがあります。

Nakamichi DRAGON というカセットデッキです。私も憧れたカセットデッキです。価格は約26万円と非常に高価で、現在でも中古市場では完動品は20数万円するようです。オートリバースという点も魅力でした。これくらいのものになるともはやカセットテープの種類を選ばず、すべての環境で誰おも唸らせる音楽を奏でたようです。まさにリファレンス機の代表です。

Aurex PC-G8AD と EXCELIA XK-009は共に録再ヘッドにアモルファス合金を採用しています。アモルファス録再ヘッドについて調べてみると、『結晶質合金と異なり結晶構造を持たないため、従来の磁性材料を使ったヘッドに無い優れた特性を備えています。アモルファスヘッドでは、このアモルファス合金を多層ラミネート構造とすることで高周波損失が少なく抑え、実効透磁率の周波数特性が向上させています。また、バイアス効率も高 めています。このヘッドはセンダストの2倍の硬度を持つため、耐摩耗性に優れています。また、磁気歪が殆どないため摺動ノイズが極めて小さく、周波数特性が良好になっています。これにより高域のSN比を大幅に改善しています』だそうです。

前述のメタルテープの話に戻りますが、メタルテープに使用されている磁性体は硬く、アモルファス録再ヘッドのようなものでないと、ヘッドがすぐにすり減ってしまい、そのカセットテープレコーダーやカセットデッキは「音がこもる」という現象が発生し、聴き取りにくい状態になっても我慢して放っておくと雑音しかスピーカーからは出なくなってしまいます。こうなるとヘッドを交換しなくてはなりません。

 

クロームテープやメタルテープが普及する前はノーマルテープが一般的でした。その後音質が良いと評されたクロームテープが普及し始めたのですが、クロームテープはメタルテープほどではないにしろ、やはり磁性体がノーマルテープの磁性体よりも硬かったので、まだアモルファス録再ヘッドが普及していない頃はうかつにはクロームテープでさえも使用できませんでした。

 

私はカセットテープを使用し始めた頃、このことを知ってはいたものの、「音が良くなった !」とぬか喜びし、クロームテープを多用し、ついにはメタルテープにまで食指を伸ばしました。結果として、CFS-77 を含め2台のカセットテープレコーダーをだめにしました。見てみると録再ヘッドに溝ができるほど摩滅していました。もっとも、アモルファス録再ヘッドが普及するまでは、ノーマルテープであってもヘッドの摩耗はありましたから、ヘッドは消耗品だったのです。

 

このように述べていると、アモルファス録再ヘッドは摩耗については全然心配する必要がないように取られそうですが、耐久性が格段に上がったことは確かですが、アモルファス録再ヘッドであっても消耗品であることは変わりません。

マイ  システム
システム

EXCELIA XK-009 で音楽を再生している画像です。いつまで正常に動いてくれるか分かりません。一日でも長く動いてくれることを祈るだけです、故障した時、電気店に持ち込んでも恐らく受け付けてくれないでしょう。修理業者を探し出すのも難しい時代となりました。

レコード針
レコード針

レコードプレーヤーのレコード針です。レコードは何年も聴いていません。左から ortofon、audio-technica、DENON、SHURE。工業用のダイヤモンドを使ったダイヤモンド針です。どれもさほど高価なものではありません。最初8000円のダイヤモンド針を使用していました。8000円というのは決して安いものではないのですが、ちょっと無理をして3万5000円の針に取り替えて聴いてみた時、衝撃を受けました。音が全然違ったのです。澄んだ音、音の奥行きの違い、左右チャンネルの分解能の違い、ダイナミックレンジの違い、迫力の違い、今まで聴いていた同じレコードなのに全く別物を聴いている感覚でした。

iPod などのデジタル機器でも、イヤフォンやヘッドフォンをグレードアップした時に似たような経験はないでしょうか。音楽の入口と出口という違いはあるにせよ、それらに込められた材質を含めたテクノロジーの違いで、音質がこんなにも違うという現実を体感すると、あながち気に入った結果を得るにはやはりお金が掛かるものなのかも知れないと感じます。

私のオーディオシステムです。レコードプレーヤーやイコライザー、プリメインアンプは2台、ビデオデッキ、DVDプレイヤーなども組み込んでいましたが、今ではそれらははずしています。シェイプアップしたとでもいうのでしょうか。左端、扇風機の下にあるのはスーパーウーファーです。ボリュームをご近所迷惑も顧みず上げていくと部屋が振動します。迫力満点・・・です。(普段はほどほどにしています。)

 

かつては大きなスピーカーがトレンドだったので、スーパーウーファーなどは必要ありませんでしたが、DVDなどのシアターシステムが主流になると、スピーカーの小型化が進み低音の再生が難しくなったので、カーオーディオでは既にお馴染みになっていたスーパーウーファーが家庭のシステムにも入り込んできた・・・ということでしょうか。

システム

スーパーウーファーです。耳には聴こえない音、低周波とでも言うのでしょうか、近寄って下の空間に手をかざしてみると音圧(微かな風圧 ?)を感じます。音楽は耳だけで聴いていないことを理解できるような気がします。体全体で聴いているんだと。

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