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作者について

本格的に美術の勉強などはしたことがありません。そう、まったくの素人です。ただ、子供の頃から漫画など鉛筆で落書きをすることが趣味でした。現在の仕事もアートとは殆ど関係のないことをしています。

 

物心がつく頃には鉛筆で落書きをしていたようで、文字を覚えるよりも先に落書きをしていたと思います。よく手のひらが黒くなるくらいまで描いていたものです。紙は広告の裏(白いもの)など。

 

社会人になってから油絵関連の画材、アクリル絵の具や水彩絵の具関連、水彩色鉛筆、パステル、カラーインク、水墨画で使用する顔料、各種の筆、エアブラシといったまさにアートに関連した画材や道具を少しずつ揃えましたが、正直に言ってあまり使用していません。作業のスピードが遅いので絵を描いている途中で絵の具が乾いてしまったりするうえに、絵の具の管理がだめで絵の具がチューブや入れ物の中で固まってしまったり、道具の手入れも嫌いなんです。

 

色鉛筆ならそんな心配も要らないしお手軽で良いと思いきや、色鉛筆は消しゴムで消せないんですよね。ちゃんとデッサンとかいった基本を勉強してきた訳でもないので、まぁー、描き損じというか思い通りに描けないので、「消せない」というのは私にとっては致命的なハンディなんです。

 

いろいろ試してみて(ほんのちょっとずつかじっただけなんですけど)辿り着いたのがモノクロの鉛筆画だった・・・とまぁ、そんな感じです。

鉛筆画の魅力

何と言っても手軽なことではないでしょうか。私の場合、必要なものは何種類かの濃さの違う鉛筆と、紙(少し気張ってイラストボードを使用することもあります)と消しゴム、練り消しゴム、ティッシュペーパー、綿棒、シャープペンシル、定着液スプレー・・・それくらいです。ですから費用もさほどでもありません。

鉛筆の種類

手元にあるかきかた鉛筆や事務用鉛筆1本で描くのもありですが、できれば絵画用のものが良いと思います。ここで言う「種類」とは濃さのことです。HB・2B・3B・4B・5B・6B・8B・10B、以上が私が使用する濃さですが、3B・4B・5B・6B・10Bが主に使う鉛筆です。ご自身の好みに合わせて濃さを選ぶと良いでしょう。画材店であれば大抵の店舗で入手できると思います。日本製のもので十分です。いえ、日本製のものが一番扱いやすいと私は思っています。私は三菱の「uni」「Hi-uni」を使用しています。値段も1本100円程度です。学校や仕事で使用する鉛筆に比べたら割高かもしれませんが、10本揃えたところで1000円前後ですよね。

 

画材店には外国製のものもあります。比較的人気のあるものはドイツ製のように私は感じていますが、ヨーロッパ諸外国製のものが多いのではないかと思います。私も見栄を張ってドイツ製の鉛筆を何種類か使ってみましたが、どうもしっくりこなくて、自身の体験から言わせてもらえば私は日本製をお勧めします。

 

理由は外国製は値段が高いものが多いこともさることながら、何よりも芯に癖があるものがあります。堅かったり、木目が均等でなく荒い部分が混入していて軽くこするように描く時ザラつくものがあります。個人的見解では非常に不快に感じます。こういった鉛筆で面をサーッと薄く塗りつぶした後、ティッシュペーパーなどでこすってぼかしを表現する際、上手く均等にイメージ通りにならないことが多く、細かな粒々が残ってしまうことがあるからです。

 

対して日本製のものは滑らかで紙にひっかかったりする感じがありません。前述の鉛筆であれば殆どの人は満足できると思います。もちろん外国製のものはトラブルが少なからずあり、日本製のものには全くないとは言い切れませんが、実際にいろいろ試してみて自分に合った鉛筆を見つけてください。私はメーカーからの回し者ではありませんが、私が最初に紹介した銘柄であれば失敗はないと思います。

 

こうした特性のせいか、その人の描く線の雰囲気や濃淡・グラデーションをどういう技法で表現するかと言ったことにもよりますが、日本製の鉛筆(柔らかな芯のタイプが多い)で描いた画はしっとりとした柔らかな雰囲気になる感じがあり、硬い芯の多い外国製の鉛筆で描いた画はカチッとした堅い、引き締まった感じになるような気がします。

使用している鉛筆(一部)

紙(画用紙・ケント紙・イラストボード)

画用紙、ケント紙などです。私は子供の頃から画用紙が好きではなかったのでケント紙をよく使います。経済的に言っても画用紙、ケント紙などがリーズナブルです。

 

私は写真などを参考にして人物を描いています。時には気張ってイラストボードを使用しますが、表面が滑らかなものを選んでいます。これとは別に粗めのものもあり、好みで選ぶと良いでしょう。サイズはB4判・A3判・B3判・A2判・B2判を私は使用しています。何を描くか、どんな風に描くかによってサイズを選ぶこともありますが、大抵は気まぐれでサイズの選択をすることが多いです。

 

値段ですが、画用紙やケント紙はB4判・A3判で1枚数十円程。イラストボードは片面と表裏両面使用できるタイプがあり、ここでは片面のものを紹介します。B4判で百数十円くらい、B2判でも500円〜600円くらいです。銘柄や厚さ、表面処理の違いで紹介した値段の2〜3倍するものもあります。表面処理の違いでイラストの雰囲気が微妙に違いが出ることも事実ですが、高価なイラストボードだからといっても出来が良くなるわけではないので、いろいろ試してみて自身の好みに合うものを見つけてください。

 

意外に気に入っているものにボール紙があります。片面が白いもので、表面が少し粗いものが好みです。普段は表面が滑らかな紙を選択していますがボール紙だけは別です。表面がつるっとした感じのものは鉛筆の乗りが悪いので私は使用しません。

消しゴム・練り消しゴム

文具店にある100円〜150円程度のプラスチック消しゴムです。細かい作業の際には小さく切断してその角を使用します。私の場合「消す」という作業では90パーセントはプラスチック消しゴムで行っています。その理由は練り消しゴムの功罪に由来します。私はTombowのMONOを使っています。細かな消しくずが出るものや、砂消しゴムは使用しません。砂消しゴムは紙を傷めますのでよほどのことがない限り使わないようにしています。

 

練り消しゴムは画材店で購入します。文具店にはまずありません。大きさにもよりますが300円程度だったと思います(購入したのは随分以前なので記憶が定かではなくて・・・)。使っていくうちにどんどん黒くなっていき、時には黒光りして紙の他の白い部分まで黒くしてしまうこともありますが、そうなる前に黒くなった部分を練り込んで中に押し込み別の部分を表面に出すということを繰り返していけば「消す能力」が復活します。最初は白かった練り消しゴムも徐々に灰色に変色していきますが気にせず使用します。ですが、表面の触感がベタつくようになる前には交換した方が良いです。ベタつくようになると紙の表面もベタつくようになり描画に悪影響が出ます。新品のまま使用していなくても、数年という時間が経過するとベタつくようになりますから、その際は潔く交換です。

練り消しゴムの功罪について説明します。まずは私が感じる優れている点です。軽くこすったり、棒状にして紙の表面を転がしたりして鉛筆の濃さを薄い方向へ微調整できる特徴があります。よって、とても便利で有用なアイテムです。ぜひとも用意しておくべきものだと思います。もちろんプラスチック消しゴムのようにしっかり「消す」こともできます。あ、そうそう、手のひらの脂分を吸着しますので冬場は手のひらが乾燥します。あぶらとり紙の代用になるかもしれませんね(笑)。

困った点は、練り消しゴムを使用した場所を後からかすれなどの微妙なグラデーションを表現する際、そこだけ(練り消しゴムでこすったり押しつけたりしたところだけ)鉛筆の濃度が濃くなる傾向が出ることがあります。ですから、練り消しゴムを使用する際はその後の作業のことを念頭に置く必要があると思っているので、使用する際は注意しています。

前述のようにベタついた感じが出ている練り消しゴムは、その傾向が強く出ますから、そういう意味でも使用は避けなければなりません。

消しゴム・練り消しゴム
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鉛筆画 Size : B4 女性Nude
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ティッシュペーパー・綿棒

家庭で使用しているものでかまいません。ティッシュペーパーは広い範囲をこすって微妙なグラデーションを表現する際に使用しています。丸めて先を尖らしたりするとある程度細かな部分のグラデーションも行えます。また、紙に接している手が鉛筆で黒くならないよう、手のひらの下に敷いたりもします。あまり黒くならないうちに新しいものに取り替えましょう。油断すると紙の本来白くしておく部分が、ティッシュペーパーの汚れが移りうっすらと黒くなってしまうこともあります。とはいえ、定着液を掛けないうちはどんなに注意していても紙と接していれば鉛筆は落ちてティッシュペーパーに付き、描いている紙に汚れとして付いていきます。絵の白い部分に移った汚れがどうしても気になる場合はプラスチック消しゴムできれいに消します。どうしても練り消しゴムを使用しなくてはならない場合は、先ほどお話ししたように慎重に行ってください。

 

綿棒も大人が使う普通のものです。細かなところのグラデーション加工に使用します。黒くなってきたら原則取り替えますが、黒くなった綿棒で微妙な表現ができる場合もありますので、すぐに捨てないで時には取っておくのも悪くありません。

 

シャープペンシルをメインに作業をする人もいて、そういう人には必需品ですが、私の場合はバックの処理などに使用する程度なので、あれば便利という程度のアイテムです。そういう意味で道具の一つとして挙げておきました。シャープペンシルの良いところは線の太さが変わらない、細い線を持続できる(芯が減っても鉛筆ほど太くならない)ところです。

 

正確に言うとシャープペンシルでも芯の太さの範囲内である程度太さの加減はできますし、濃淡の調整もできます。鉛筆ほど自由度がないというように捉えています。極細の線を多用して、あるいは超極細の線だけでイラストを描いている人もいます。実際、超極細の線を描く場合、鉛筆の芯の先端を針のようになるまでに細く削っている人もいます。しかしながら鉛筆で細い線を持続しようとする場合、頻繁に芯を削らなければなりません。結構大変なのではないかと想像します。そしてそんなに細くしていると私はすぐに芯を折ってしまいます。不器用なのでしょうね。

 

極細の線を描くにはシャープペンシルは便利なものですが、私の場合主体となる部分に使うことは殆どないので鉛筆が一番です。また、シャープペンシルの芯の濃さは何種類くらい市販されているのかは正直なところ分からないのですが、私が文具店などで探した限りでは芯の濃度が豊富でないのも私には不満なところです。私が使うシャープペンシルの芯の太さは0.3〜0.5mmでごく一般的なものです。濃度は主にBと2Bです。

シャープペンシル

鉛筆画 Size : B4 女性Nude
シャープペンシル・芯

定着液(フィキサチフ)

完成した鉛筆画の黒鉛=グラファイト※(鉛筆の芯の粉)を紙から剥離しにくいよう定着させるものです。スプレー缶のものが画材店で販売されています。大きさにもよりますが、大きい480mlのものが大体一本1500円くらいだったと思います。絶対必要なものとは言いませんが、これを吹き付けておかないと折角の作品が色褪せていきますし、接したものに鉛筆の色が移ったりしますのでぜひとも使用した方が良いでしょう。これをたっぷり吹き付けていてもこすれたりすると色が落ちることがありますから、吹き付けてなかったらどうなるか分かりません。強定着のストロングタイプもあります。確かに強力ですが、吹き付けすぎると表面がテカテカ光ることがあるので注意が必要です。こちらは300mlと小ぶりなのですが2000円くらいだったと思います。私はholbeinのものを使用しています。もっとも他のメーカーは知らないのですが。

 

裏技というか荒技をひとつ紹介します。定着液を吹き付けて十分乾燥させた後、その上からさらに描き足すこともできます。ただし、既に表面はザラザラしている場合が多いので、グラデーションの描写は難しくなりますが、どうしても修正が必要になった場合、できないことはないと言うことです。ある程度プラスチック消しゴムで消すこともできますので、この方法で濃度を薄くするということができます。ただし、吹き付けている量にもよりますが、定着液を使用している以上完全に消すことはほぼできません。また、ストロングタイプの定着液は本当に強力なので、これを使用した場合は後で修正しようと思っても殆ど何もできないと頭の片隅に入れておくと良いかもしれません。

 

フィキサチフ

※黒鉛(グラファイトgraphite)は、石墨ともいわれダイヤモンドや石炭の仲間(同素体)として天然に産出します。同じ仲間の石炭とは異なり、層状構造をしていて層間が滑りやすく、これが筆記時の滑らかさを与える要因となっています。鉛筆の芯は、黒鉛と粘土でできています。鉛は含まれていません。黒鉛は、炭素でできていて石炭やダイヤモンドの仲間(同素体)です。また表面の塗料にも鉛は含まれていません。

              (Tombowのホームページより引用)

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